製品名は異なっても品質は全く同じです。
原料は夾竹桃(きょうちくとう)の原木をチップ化してレーヨンなどの製法と全く同じで製糸化されたものです。
ほかの再生繊維との違いはテンセルの冷却は空気です。ゆえに「空中紡糸」と名付けられています。
その他の人絹、レーヨンなどは水で冷却して糸になるので、「水中紡糸」と名付けられています。
周知の通り、和紙はクワ科の低木の樹皮を熱溶解で糊状にして、目的により厚さを決めているようですが、天然の再生繊維は、ある途中まで同じように糊状にして目的により糸や紙に作り分けているようです。
テンセルは、ペンキ等の塗料のひび割れ防止目的で開発されたものだから国際表示では「繊維素外繊維」と標示されています。
桑の木や芭蕉、棕櫚(シュロ)の樹皮などは細分化して直接糸として使うものは「繊維」と標示してありますが、竹の皮は細分化しても「繊維素外繊維」と標示されています。
目的の出発時の意味合いが絡んでいるのでしょう。
再生繊維の中でもテンセルはほかの再生繊維より単価が高いと思いますが、今日のように糸として、布として実用化に至るまでには右往左往のセールス上の事情が多くあったそうです。
初期開発は英国のコートルーズ社が塗料用として製造しましたが、があまり売れなくて権利をオランダへ売ったそうです。
しかし、買ったオランダでも売れ行きが悪く、今度はオーストリアへ権利を譲渡。
衣類としては発明利用するまでには、色々コストがかかり、元資のペイがなかなかできないそうだとの噂がありました。
テンセルは、レイヨン・キプラ等に比べ、三倍高いようですが、これから、夫人向きの洋服地として徐々に注目され、ソフト・ドレープ性、肌触り等がよいので、やがて量産体制が成立すると、ほかの再生繊維のコストに近くなると思います。
夾竹桃
日本でも八月ごろになると藪の木として、街路樹として花が赤く、たまに白く咲いているのも見かけます。